人の最期に関わるお仕事

先日のFM放送「ラジオ寺子屋・高野山」でのインタビューのなかでー

『枕経を唱えたあと故人の額に手を当て、ご遺族に聞こえないくらいの声で、“よくがんばりましたね”と話しかけます。』
という私の話を聞いて、
かつて葬祭関係のお仕事をされていて、
その後体調を崩されたことなどもあって離職された方から、

「先生のお話を聞いて、もう一度葬祭の仕事に復帰することを決めました。
今まで百人以上の故人様を見送ってきましたが、
果たして私は故人様の最後の時をかけがえの無いものと出来ていたのだろうか?
先生のインタビューを聞き自問し、そして今一度、故人様に向き合っていこうと思ったのです。私に進むべき道を教え頂いたのかもしれません。
そして私なりに故人様、御遺族様にとり最後となる言葉をかけていきたいと思います。
身体がどこまでもつのか正直、不安です。だけど先生のお言葉のように最後の時を私なりに迎えていけたらと思います。」
と、メッセージをいただきました。

人の最期に関わるお仕事はとても重要で尊いものです。

以前「おくりびと」という映画がありました。
人が生まれ、赤ちゃんから日々成長し、やがて小中高大学で学業を成し、就職・結婚・子育てなどを経て子どもの成長とともに老いを迎えます。
その人生にどれだけの悩み、苦しみ、苦痛、喜び、楽しみを経験したことでしょう。
そしてどれだけ多くの愛情を周囲に注いできたのか計り知れません。

その最期を温かく、美しく、感謝と労いを込めて整え荘厳していただくのが葬祭に関わる方のお仕事です。

メッセージをいただいた方はそれまでにも丁寧に勤められていたと思います。
私のお話しが、あらためてその大切なお仕事に戻られようと決心をされるきっかけになったのなら、
このインタビュー放送も無駄ではなかったのでしょうか。

どうか体調には十分注意してお仕事されることを願うばかりです。

合掌

タイムラインにこの写真をアップしたのはー

空あり、山あり、川あり、花あり。
人生を現しているように思ったからです。

  空は爽やかな青空もあれば、曇天にもなります・・・
  山は四季折々に表情を変えます・・・
  川は清流もあれば、濁流にもなります・・・
  花は咲くときもあれば、やがて散ってしまいます・・・

まさに人生はその人の心も環境も多彩な変化の連続かもしれません。
なかでも多くの人は「苦」の時を乗り越え、
人生の幕を閉じるのです。

「苦」は「にがい」とも読みます。
その文字の成り立ちのように、苦くて乾ききった味のない草を食べたことが多い人ほど、温かい味のある人なのかもしれません。
そしてそのDNAはご遺族に受け継がれるのでしょう。

私は枕経の最後に故人の額に手を当てー
「ようがんばりましたね」と語りかけて経を閉じるのです。

(写真は薬師巡礼で通りかかった由良川沿い)


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