初不動の法話

<仏さまの胎内納入物について>

このお軸、西国33番観音霊場のご詠歌朱印のお軸です。
私が2000年からお参り初めて20年かかりました。
まあ途中いろいろありましたからなー。
今日皆さんに拝んでいただいたんで、私もええとこ行けます(笑)
ありがとうございました。

この西国巡礼が終わってから国宝やお薬師さん霊場なんかを廻っているんですが、
きょうはそんな中で、ご本尊の胎内からでてきた仏さまや古文書などについて、
お話ししたいと思います。胎内納入物の話しです。

仏さまの胎内からは、仏像はもちろんのこと、
仏像が納められお開眼されるまでの経緯や仏師の名前や発起人や、
あるいは途中どういう補修や修理が行われたか事細かに書かれた文書などもあります。
考えてみると、昔の人は大切な記録はちゃんと残してるんですね。

今の安倍政権やったら、みな捨てられてしまいますけどね(笑)

そこで今日は私が行った三ヶ寺の本尊胎内納入物についてお話ししますね。

■まずはじめは 奈良の般若寺、コスモス寺で有名な関西花の寺の一つでもあります。
ここのご本尊は阿弥陀如来です。
この阿弥陀如来の台座から大日如来と地蔵菩薩と十一面観音が見つかったんですね。
本来、阿弥陀如来は「南無阿弥陀仏を唱えれば西方極楽浄土へ行ける」という浄土思想の仏さまです。
その阿弥陀如来の胎内に真言密教のご本尊である大日如来や、菩薩さまが納められていたということは・・・
阿弥陀如来を拝むことが、大宇宙を含む真言密教もともに拝むことであって、
「唱題念仏」だけにこだわらず、すべての仏の教えを分け隔てなく区別差別することなく信仰することの大切さを教えてくれているのかもしれませんね。

法事に行くと、「真言宗やのになぜ南無阿弥陀仏を唱えるんですか」と聞く人もいます。
ちなみに真言宗の弘法大師は空海さんです。
空と海という宇宙を含む名前ですから、高野山奥の院には浄土宗の法然さんのお墓も、浄土真宗の親鸞さんのお墓もあります。
言い換えれば、自分の教え以外は排除排斥するという狭い考えを戒めていると思うんですね。
般若寺のご本尊は、仏教の本義である寛容の大切さも教えてくれているんですね。

■二つ目は京都の清涼寺、嵐山釈迦堂として有名ですね。
ここのご本尊はその名の通りお釈迦さんです。
お釈迦さんのお腹から何が出てきたと思います?
お腹から「お腹」が出てきたんです(シ~~ン)。
布で作られた「五臓六腑」が出てきたんです。(ヘエ~)
心臓、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓・・・
私たち「五臓六腑」いうたら、ちょっと入院してて久しぶりに熱燗のお酒いただいたら、
『五臓六腑に染みわたるなあ』ぐらい・・・(笑)

私の想像ですけどね、お釈迦さまは実際に生きていた人間です。
人間だったんだから体内臓器を納めて、
ずっと将来にわたって生きていてもらいたいとの願いがあったんだと思うんですね。
そして驚くのは、一千年前に解剖医学が進んでいたということ。
そして布織りの文化も進んでいたんでしょうねえ・・・
仏師もその願いを理解し、当時の医学者や機織り職人、
ひょっとしたら錦織さんという人たちが力を合わせて、
命あるお釈迦さまを作り上げたんでしょうね。
そして今もお釈迦さまは生きているんだと教えてくれてるんでしょう。
ちなみに、この胎内物も国宝として本堂に展示されているんですね。
すごいことです。

■三つ目は湖南三山の一つ善水寺です。
お薬師さんの霊場で、つい十日ほど前に行ってきました。
寒い日でね、お参りは私一人だったのでお軸にご朱印をいただいたら、
本堂で「アン」して帰ろうと思ってたんですけど、ちょうどご住職が居られて・・・。
大きな国宝の本堂ですよ、うちみたいに小っちゃい本堂チャイますよ(笑)
その本堂の大きなストーブ、学校の体育館に置くような大きなストーブを私一人のために点けていただいて「まあまあ近くへどうぞ」と招いていただいて、とても丁寧に説明してくれました。
ここのお薬師さんの場合、明治39年の改修時の調査でお釈迦さまの胎内からたくさんの米の「籾」が出てきました。
当時、文化財関係者が籾を水につけて発芽するか試しました。
すると、芽が出て苗になって穂がついて立派なお米になりました。
一千年前の籾ですよ、すごいことです、生きてたんです。
その穂がついた稲わらは、胎内から出てきた籾とともに本堂に展示されています。

この地方は近江米、江州米と言われるぐらいの美味しい米どころです。
少し北に行くと「米の原」という「米原」というところがあるくらいですからね。
でも一千年前にはそれほど農地は広かったわけではないですから、
お米はとても貴重なもので、お米が人々の命を育て、ある意味「薬」でもあったんですよね。ですからここに納められるお薬師さんには、お米、籾をお腹に入れて将来にわたって長く長く生きてもらおうという願いがあったんでしょうね・・・
実りや豊穣を祈願するとともに、
将来にわたり長く長く、病を癒やしてもらいたいという願いがあったんでしょうねえ。

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■「胎」という字ですが、肉づき辺に台を書きますね。
台の下の「口」は人の口でもあるし、大地でもあるんですね。
台の上の「ム」は鋤(すき)の形象文字で、
大地をすきで耕して、できた実りを食べて肉・からだを作っているという字なんですね。言い換えれば「命の始まり」という意味を持ってるんですね。

女性のお腹に赤ちゃんが宿すと「胎児」といいますね。
「胎児」は「胎盤」をまくらに大きくなるんですね。命のはじめの場所です。
ですから、「女」辺に「台」と書いて「始」と読むじゃないですか。
命の始まりを持っている女の人はえらいんです、すごいんです(笑)
「台」という字は「尊い」という意味もあるんで、「尊台」とか「貴台」とか使うじゃないですか。
ところで、命の始まりの料理をする場所をなんていいます?
そうです。「台所」っていうじゃないですか。(ハア~)
「石けん台」とかいっぱいある場所チャイますよ。(笑)

このように胎内物にはいろいろなものがありますが、
私たちに色んな事を教えてくれるんですね。
また機会があればお寺巡りで、胎内物を見てみるのも良いかもしれません。

ちなみに最近、とても大きな観音さまや大仏ができたりしてますが、
そういうところは胎内巡りできるところがたくさんありますね。
これは、胎内巡りで上の方に登って行けば、
仏さまの目や喉仏から見晴らしが良いので入るというだけではあかんのよ(笑)

胎内巡りは命の始まりの場所、母親のお腹の中に戻って、
いま生きていることに感謝し、親に感謝するとともに、
もしいまの体調が優れないなら、
胎内から出るときにはどうぞ元気に生まれ変われますようにと、
祈る事が大事なんです。。。

ちょうど護摩の時間になりました。
お話し終わり。。。

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